今年のアジア安全保障会議(シャングリラ対話)は、南シナ海の軍事拠点化を進める中国と、「法の支配」による国際圧力を模索する米国が激突する構図が強まった。非難合戦をエスカレートさせる両大国から踏み絵を迫られた形の東南アジア諸国には、困惑が深まっている。 「一部の国や人々が、いまだに冷戦時代の思考と偏見で中国を見ていることを懸念する」。中国の孫建国副総参謀長は5日の講演で不満を爆発させた。質疑応答では、カーター米国防長官の前日の対中批判を指して、「思考に壁を築き自らを孤立に招きかねないのは彼らの方だ」と米国を非難。「(中国の)孤立は将来もない」と言い放った。 「多くの国はむしろ昨年より友好的だ」と豪語した根拠は、会議と並行し十数カ国・組織と分刻みで行った、2国間協議にあるようだ。4日に会談した「親中派」のカンボジアの高官は「カーター氏の主張は誤りだ」と孫氏を支持した。 一方、一緒に登壇したベトナ