「疑問を持つこと、いろんなことを知っていくことは、唯一カウンターの条件だと思う」。そう筆者に語ってくれたのは、GEZANのマヒトゥ・ザ・ピーポーだったわけだが、今、自分がどのような世界に生きているのかということを正確に把握するのは、とても難しい。この国の経済は右肩下がりで、正解のない世界で人々はあらゆることでいがみ合い、分断と衝突を繰り返している。資本主義という巨大な構造のなかで、私たちの一つひとつの選択が未来にどのような影響を及ぼしていくのか、想像してもしきれない。この混沌とした時代の渦中で、あなたが私と同じように世界を少しでもよりよくしたいと願っているのだとしたら、知らなければいけないことは無数にある。 終わりゆく2010年代へのたむけたるROTH BART BARON『けものたちの名前』のリリースに先駆け、フロントマンの三船雅也と音楽評論家・田中宗一郎による対談を実施した。CINRA