歯周治療のゴールドスタンダードはプラークコントロールであり,その主体となる適切な歯ブラシ指導とSRPの実施は歯科衛生士の重要な職務であり,腕の見せ所でもある。プラークコントロールに薬剤を使用するなんて衛生士として自分の技術を否定するのと同じだ。そんな考えを持つ立派な歯科衛生士の方々も少なくないと思われる。しかし,高齢化社会へと急速に進む現在の社会情勢の中,歯ブラシだけに頼るのではなく,歯周病治療や予防に対し薬剤を応用することの重要性は増してきている。本コーナーでは歯科衛生士が行なう薬物療法として洗口と歯周ポケットイリゲージョンに用いる薬剤を中心にその種類,特性を概説し,その使用法について解説していきたい。 歯周病はプラーク(バイオフィルム)に起因する細菌感染症であると定義づけられている。プラークはその付着部位により歯肉縁上プラークと歯肉縁下プラークに分けられる。特に歯肉縁下プラークにはグラ