「ナッジ」ということばを聞いたことがありますか? もともとは英語の「NUDGE」で、直訳すると「ひじで優しく押したり、軽くつついたりする」という意味。それが転じて、ちょっとしたきっかけを与えて、消費者に行動を促すための方法として、行動経済学という分野で注目の研究対象となっています。 今、このナッジを、災害時の迅速な避難行動に生かそうという取り組みが始まっています。どこまで成果が期待できるのか取材しました。(経済部記者 菅澤佳子) 去年(2019年)10月に日本列島を襲った台風19号。 全国の、延べ270以上の河川で氾濫が発生し、犠牲者は先月10日時点で東北地方を中心に99人にのぼりました。 この台風被害を検証するとさまざまな課題が浮かび上がります。その1つが、自治体などが早めの避難を呼びかけたにもかかわらず、実際に避難した人が少なかったことです。 消防庁のデータをもとに計算すると避難勧告や