認知症の治療で抗認知症薬を服用すると、暴行や暴言といった、攻撃性が高まる副作用が起こることがある。厚生労働省が2013年に公表したガイドラインは、幻覚や妄想、攻撃性などの症状に、本来は適用外の抗認知症薬4種を推奨。専門医らから「暴行や暴言などの副作用を招いている」と批判があり、厚労省はガイドラインを修正して昨年9月公表した。しかし、抗認知症薬を第1選択薬とした点は変わっておらず、専門医らの批判が続いている。 問題が指摘されたのは「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン」。BPSDとは、認知症の症状のうち認知機能の低下以外の暴力、暴言、妄想、抑うつ、不眠、徘徊(はいかい)などの症状や行動障害の総称だ。旧ガイドラインは、幻覚、妄想、攻撃性、焦燥に対して抗認知症薬のドネペジル▽ガランタミン▽リバスチグミン▽メマンチンを推奨。副作用に関する記載はなかった。