オランダ出身ながらハリウッドで一時は大成功を収めたポール・バーホーベンが、現在アメリカで再び注目を浴びている。彼がはじめてフランス語で撮った最新作『Elle』がこの11月11日からアメリカで公開されているからだ(#1)。同時に、ニューヨークのリンカーンセンターでは、バーホーベンの全作品を上映するレトロスペクティブ「Total Verhoeven」も開催されている(#2)。そして、それ以上に大きな話題となっているのは、今年のカンヌ国際映画祭にもコンペティション部門で出品された最新作『Elle』がレイプ問題を正面から扱った映画である事実だ。アメリカ大統領選で女性への性的暴行が大きな議論となる中で、バーホーベンが再び私たちの時代精神をとらえたものとして、多くの批評家がこの点に注目している。 バーホーベンがアメリカで映画を撮ったのは、2000年公開の『インビジブル』が最後である。その後、現在までの