かつて沖縄の街角で男性たちが楽しんでいたものの、第2次大戦後に急速に廃れていった娯楽がある。地元の伝統将棋、チュンジー(琉球象棋〈しょうぎ〉)だ。なんとか細々と命脈を保ってきたこの遊びを、いま愛好家らが再び広めようとしている。 ガチャ、ガチャ――。暮れも押し迫った昨年12月、沖縄市の銀天街商店街。「琉球象棋教室」と貼り紙のある建物の窓の向こうから、将棋とは違う重い響きが聞こえてきた。 コマは丸く直径5センチ弱、厚さ2センチ弱で一人16個。「つまむ」というより、わしづかみにする。「昔はたたきつけるような音が、遠くから聞こえたものです」。琉球象棋協会の宮平良慶会長(61)は言った。 ここでは昨春から毎週土曜午後の4時間、チュンジーの教室が開かれている。この日も7人ほどが盤を囲んでいた。最年少は山城正樹さん(50)で、始めてまだ半年たたないが、「引っ張り込まれてしまって。でも、面白いんです」。