ごくたまに、母親が作ったおにぎりが食べたくなるときがある。 それくらい簡単だから自分で作ればいいんだけど、自分ひとりのために米を握るという手間は、地味に面倒で結局やらない。 おにぎりが出てくるのは土曜日が多かった。 私が小学生だった頃、土曜日は3限まで授業があって、それが終わったら家に帰って吉本を観ながら家族でおにぎりを食べるのだ。 早く帰れるこの日がいつも楽しみだった。 いつからだろうなぁ、家に帰るのが憂鬱になってしまったのは。 いろいろとおかしくなってしまったのは。 あの頃はたしかによかったと思うけれど、ちょっとずつやっぱりおかしかったとも思う。 日曜には父がいつも祖母のご機嫌取りのために幼い私を何時間も連れ回したし、祖母は私の意見なんて聞く気がなくて人形扱い。 金さえ払えばいいとでも言うようにぞんざいにプレゼントされた「ほしいもの」だけがドカドカと家に溜まっていく日々であった。 そん