パリ協定に基づく地球温暖化対策の長期戦略策定に向け、政府の有識者懇談会が提言をまとめた。 温室効果ガスの排出が実質ゼロとなる「脱炭素社会」の実現を目指すことを求めている。パリ協定の理念にのっとっており、妥当な指摘だ。 しかし、提言は、実用化のめどが立っていない新技術の活用に大きな期待を寄せている。回収した二酸化炭素(CO2)から燃料や原料を生み出す技術などだ。実用化に失敗すれば、戦略が狂う危うさをはらむ。 政府は6月に大阪で開く主要20カ国・地域(G20)首脳会議までに戦略をまとめる。議長国として議論を主導するなら、より野心的で、しかも地に足のついた戦略が必要だ。 パリ協定は、締約国に2050年までの長期的な温室効果ガス削減戦略の策定を求めている。その骨格作りのため、安倍晋三首相の指示で有識者懇が設置され、学識経験者や経済団体代表などが委員となった。 国連の専門家組織は昨秋、地球の平均気温