米国でトランプ政権が2017年1月に誕生する。次期大統領のトランプ氏は選挙期間中アジア太平洋地域への政策として、中国がメンバーになっていない環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの離脱及び韓国・日本に駐留する米軍経費の公正な負担、場合によっては駐留米軍の削減や撤収の可能性を示唆している。中国に対する公約の中には、為替操作疑惑で罰則を科したり、高い関税を課したりなど中国経済にとって打撃になりかねない政策も含まれる。本稿では主にトランプ政権による中国の為替・貿易への影響に関し分析する。 ◆為替操作国認定 トランプ氏は政権発足後100日以内の行動計画を記した「米国有権者との契約(Contract with the American Voter)」の中で、7つの米国労働者を保護する行動の3番目に、財務長官に中国を為替操作国認定するよう指示するとしている。米国財務省は1988年以降年2回、外国為替