もう少しだ。もう少しでこの平凡な日々ともおさらばだ。 あの野郎とあいつが死ねさえすれば・・・・・。 私が今、人前で毅然と振舞えられるのは長年の野心が高揚感を包括するからだ。 今、目の前にいる長年付き合っている同期にも私の気持ちは顔から悟られていないだろう。 この調子なら、後少しの間も大丈夫だろう。 ふと時計に目をやると針が十三時二十五分を示していた。 「そろそろだな」 「ああ、そうだな」 私がそう答えると私達は資料とノートパソコンを両手に抱え、会議室へと歩み出した。 名古屋に本社を構えるとある大手興業のビルの一室で、ある大規模な殺人計画が一人の初老男性に伝わろうとしている。 ここは密談をする為の専用部屋で、地上から約五十メートルに位置し、ここに辿り着くまでにはねずみでも通る事が難しいセキュリティーを通り抜かなければならず、この会社の社長とその社長の入室許可を得られた者以外はまず立ち入る事は
