2011年に僕がメディアラボの新しい所長に就任することが発表された際、異例な人選だという感想を持った人は多かった。僕が上級学位、いや、学士号すら取得していなかったため、当然だ。タフツ大学もシカゴ大学も中退し、それまでの人生のほとんどを奇妙な仕事や、会社や非営利団代の設立や運営に費やしていた。 メディアラボとMITが、大学を出ていない所長を雇うのは、かなり勇気を必要とすることだったと思う。でも、峠を越えてからは、ある種の勲章だと感じる人たちもいた。(みんながそのように感じたわけではない。) 日本のインターネットの父であり、僕の日本での先生である村井純氏は、慶應義塾大学政策・メディア研究科委員長も務めており、同科の博士課程を受けるよう薦めてくれていた。2010年6月、学士号も修士号も持たない人への博士号の授与は可能、との確認が慶応大学から届いたときからこの話はいよいよ本格的になった。僕はメディ