長男がまだ小さかった頃、「は」に濁音をつけると「ば」になるということを、なぜだかすんなりと理解することができなかった。 「『か』に点々をつけると何になるかな?」 「が!」 「じゃあ、『た』に点々をつけるとどうなるかな?」 「だ!」 「よし、そしたら『は』に点々をつけると?」 「『は』に点々……?う〜ん………わかんない。」 「か」が「が」になることや、「た」が「だ」になることはちゃんと理解できるのに、「は」と「ば」の対応関係だけがどうしてか理解できない。 繰り返しの練習の末、息子も結局はその対応関係を(半ば無理やり)理解することができるようになったのだが、どうして「は」と「ば」の関係だけを理解できなかったのかは、最後まで謎のままだった。 しかし数年後、たまたま読んでいた言語学の本に、この謎の答えがすべて書かれていた。 結論から言うと、間違っているのは我々大人の方だったのだ。 音声学的には、点
