2016年3月5日のブックマーク (9件)

  • 集会報告 JATS-Con Asia 国際会議

    日程 2015年10月19日(月) 場所 科学技術振興機構 東京部(東京都千代田区) 主催 科学技術振興機構,学術情報XML推進協議会 後援 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所,一般社団法人 情報科学技術協会,情報知識学会,一般社団法人 情報処理学会 JATS-Con Asia国際会議が2015年10月に東京で開催された。これは,JATS-Conのアジア版という位置付けとなる集会である。家のJATS-Conは毎年,米国ベセスダのNLM(National Library of Medicine:米国国立医学図書館)で開催されており,年の開催についての集会報告が誌2015年9月号に掲載されている1)。 JATS(Journal Article Tag Suite)は,オンラインジャーナルの作成などでよく知られるが,学術雑誌をXMLで記載する際に使われるスキー

  • 過去からのメディア論 消費と創造にハマる人々:ネット中毒者とハッカー

    以前,現代のネット中毒と18世紀の読書中毒の問題を比較する論考を書いた1)。この論考では,新奇なメディアを利用する習慣が定着するまで,そのメディアの新奇性に加えて,利用習慣の不安定さによって,メディア利用そのものが不道徳であると見なされる可能性を示唆した。つまり,メディア利用そのものを不道徳とみる見方は,新しい社会現象を前にして戸惑う「古い人々」のものにすぎない可能性があるということだ。 ところが,確かに心身の健康や生活・仕事への影響を心配しなければならない場合もありそうだ。たとえば,オンラインゲームやソーシャルネットワーキングサービス(SNS),インターネットポルノなどにハマった人々のケース。 ジャーナリストのDamian Thompsonによれば,ゲームSNS,インターネットポルノなどは,ユーザーが時間とお金を大量に投資するよう,つまり,ハマるように人工的に設計されている。人間は報酬

  • 情報技術におけるELSIの可能性:歴史的背景を中心に

    稿は,近年急速な発展を遂げる情報技術が,社会の中で適切に発展していくための条件について,科学技術の社会史や生命科学の倫理問題の経緯を踏まえつつ,考察するものである。具体的には,科学技術観の歴史を簡単に確認したうえで,1970年頃に広がった「科学技術に対する懐疑」の思想について議論する。また,生命科学,とりわけ分子生物学において,倫理的な問題意識が登場した背景について検討する。さらに,このような動きの延長線上にあるものとして,「ヒトゲノム計画」に伴って提唱された「ELSI」という研究プログラムについて確認する。そのうえで,情報技術におけるELSIの現状と可能性を,EUと日の事例を参照しつつ,考察する。 稿は,情報技術IT)が,社会の中で適切に発展していくための条件について,科学技術の社会史や生命科学の倫理問題の経緯を踏まえつつ,考察するものである。 まずは,これまでの科学技術に対する

  • この本! おすすめします デジタル社会における教育を考えるための3冊

    教えること,学ぶことが原理的に情報をやりとりするコミュニケーションの側面をもつ以上,教育のあり方はその時代の情報環境の影響を受けざるをえない。これまでの歴史を振り返っても,文字の誕生や印刷技術の発展,電子メディアの登場により,人々の学び方と教え方は常に変化してきた。デジタル社会ともいわれる現代社会においても,これまでの教室や黒板を使った一斉教育を脱した,新たな教育のあり方が模索されている。デジタル社会における教育のあり方を考えるために,以下3冊をお薦めしたい。 このような問いに真正面から答えようとしているのが書である。アメリカにおける教育の変化や具体的な研究や事例を豊富に紹介しながら,教育テクノロジーを導入することへの推進派の意見と懐疑派の意見を比較し,デジタル社会における学びのあり方について論じている。書の興味深い点は,たとえばテレビを使った教育番組を学校へ導入することがなぜ失敗し

    この本! おすすめします デジタル社会における教育を考えるための3冊
  • 集会報告 2015年 Crossref年次総会

    DOI(Digital Object Identifier)を用いた引用文献リンクでよく知られているCrossref(前表記はCrossRef)は2000年1月27日に設立され,2月から出版社ハーコート・ブレース社で仕事を開始した1)。筆者はその年にCrossrefを訪問し,Ed Pentz所長(当時)にいろいろ話を伺い,そのまとめを報告した2)。 Crossrefの仕組みは大成功を収め,現在引用リンクの仕組みは確固としたものになった。科学技術振興機構(JST)が運営する電子ジャーナルサービスJ-STAGEもJapan Link Center(JaLC)を通じてCrossref DOIを登録している。 Crossrefはその後サービスの範囲を広げ,被引用文献リンク(Cited-by Linking),剽窃(ひょうせつ)検知ツール(CrossCheck),論文の更新情報通知(CrossMar

  • 集会報告 第2回 Altmetrics Conference

    日程 2015年10月7日(水)~8日(木) 場所 Amsterdam Science Park(アムステルダム,オランダ) 主催 Wellcome Trust,Altmetric,Springer Nature,Crossref,eLife,Elsevier 後援 frontiers,Amsterdam Science Park,ARMA,Nature Publishing Group,Plum Analytics,Public Library of Science, Netherlands Organisation for Scientific Research Altmetricsとは,論文やデータセットなどさまざまな研究成果物の影響を,ソーシャルメディアの反応を中心に定量的に測定する手法と,その手法を用いて新しい研究の影響度を測定する活動を指し1),2010年に「altmetric

  • 視点 図書館再考

    2015年は図書館に関するニュースや話題が各所で目に留まった。 映画界においては理不尽な検閲から図書館の自由を守ることを題材とした「図書館戦争 THE LAST MISSION」(原作:有川浩『図書館戦争』)が公開され話題となった。 国立国会図書館の納制度をめぐってのニュースでは,国立国会図書館法や納制度を,初めて見聞きした方も多いのではないだろうか。 愛知県小牧市においては,図書館業務の民間委託の是非について住民投票が行われ,図書館の運営や選書の民間業務委託そのものにスポットが当たった。 一方,鎌倉市図書館Twitterで発信した「学校が始まるのが死ぬほどつらい子は,学校を休んで図書館へいらっしゃい。」というつぶやきは社会的にも共感をもって迎えられた。 話題の善しあしは別として,図書館という媒体が,話題となり注目されているのは,「図書館」のもつ機能が変化し,その変化が表面に現れてき

    視点 図書館再考
  • レポート紹介 Making Data Count:データレベルのメトリクス(指標)開発に向けた調査報告

    科学研究の成果は学術雑誌に論文として発表され,広く共有されてきた。論文のインパクトは,引用された回数などによって測定されている。近年,論文の根拠となるデータの公開が研究助成機関や学術雑誌によって推進され,データ出版(data publication)1)やデータ引用(data citation)2)といった用語も広まりつつある。そしていよいよデータの利用やインパクトを測定するための取り組みが盛んになってきた。 それでは,研究者やデータ管理者は,どのメトリクス(指標)を重視しているのだろうか? また,どのようにデータを共有し,入手し,活用しているのだろうか? Making Data Count(以下,MDC)3)プロジェクトは,データのメトリクス開発に先立って,こうしたデータ共有に関する意識や実態を調査した。ここで紹介するレポートはその報告であり,調査データはカリフォルニアデジタルライブラリ

  • わが国における政府統計のデータシェアリングの現状と課題

    稿では,政府統計に関するデータシェアリングに焦点を当て,わが国における政府統計のデータシェアリングの現状と今後の方向性について述べた。政府統計データにおいては,統計表の公表だけでなく,匿名化ミクロデータの提供,個票データの提供,オーダーメード集計,オンデマンド型の提供サービス,オープンデータ化といったように,データの秘匿性と利用者のニーズに合わせた形で,さまざまな形態による提供が行われてきた。他方,政府統計に関するデータシェアリングをさらに展開するうえでは,異種の統計調査のデータリンケージ,ビッグデータとしての政府統計の利用可能性,メタデータの整備といった課題についてさらなる検討が必要だと考える。 社会学や政治学の分野では,主として,社会調査データに関する2次分析(secondary analysis)を可能にするために調査データのデータシェアリング(データアーカイブ)が行われてきた。米