わすれもの、うせものがたえない毎日を送る忘却散人(飯倉洋一)のブログです。2008年3月スタート。日本近世文学。 軽い読み物として、推敲もなしに書いていますので、学術論文などへの引用はお控えください(どうしてもという場合は、事前にコメント欄にでもご連絡下さい)。エッセイなどでの引用やSNSなどでのリンクはご自由にどうぞ。 ついに、小川剛生さんの訳注になる『徒然草』(角川ソフィア文庫、2015年3月)の文庫本が登場した。 今後しばらくは、徒然草注釈書の決定版となるのではないか? まず表紙に「兼好法師」と作者名が書かれているが、これが近年国文学研究史上画期的な発見となった「兼好は吉田氏ではないことを完璧に立証した小川さんの論文「卜部兼好伝批判」に基づいていることは言うまでもない。 そして、我々研究者が読んでワクワクするのは、補注であろう。近年の研究に目配りした丁寧なもので、徒然草の新しい読み方