オフショアリングと技術変化の偏向は、国内の労働需要に対して観測上同等の効果を示すため、その相対的な影響力を定量化するのは困難である。本稿は、国内外の全生産工程を含むグローバルバリューチェーン (GVC)を調査することによって、偏向型技術変化を特定する方法を示す。調査の結果、技術変化によって低スキル労働者の雇用が減る一方で、高スキル労働者の雇用が増え、資本の使用を増やす効果があったことがわかる。 先進国のスキルプレミアム(賃金格差)や雇用の二極化を促す二大要因は、偏向型の技術変化とオフショアリングであるということは、経済学者の間で共通の認識となっている。同時に、この2つは同時に観察されることが多いため、その相対的な重要性ははっきりしない。 オフショアリングと偏向型技術変化の観測同等性 これを調査するため、ある企業の生産技術は一定だが、技能を必要としない生産工程が海外移転を決定すると仮定する。