19歳のとき、大澤真幸の『身体の比較社会学〈1〉』『身体の比較社会学〈2〉』(ともに勁草書房)に衝撃を受け、社会学に没頭したガリ勉女学生がいる。彼女は、同志社大学から大学の大学院へと進学したが、その人生を雑誌『小悪魔ageha』(インフォレスト)との出合いによって大きく変えられる。 彼女は、キャバクラの世界へ足を踏み入れることになったのだ。それも、研究目的で。 彼女の名は、北条かや。『キャバ嬢の社会学』(星海社)の著者だ。本書は北条の修士論文をもとに書かれており、その帯の言葉――「23歳の京大院生が、自らキャバクラ嬢となって潜入捜査!」――にあるとおり、彼女がキャバクラで見聞きし、そして体験したことの記録でもある。 たとえば、キャバクラ入店初日の記述。読者は、素人の女の子がキャバ嬢になるまでの一部始終を目にすることになる。面接を受け、源氏名を与えられ、プロフィール写真を撮られ、お酒の作り方
