鬼才・古谷実の禁断のコミックを森田剛主演で実写映画化した『ヒメアノ〜ル』。メガホンをとるのは、ヒューマンドラマに思わせておいて、実はリアルな痛さをひりひりと忍ばせる、そんな作風でおなじみの吉田恵輔監督だ。 映画ファンの間では、最大限の賛辞として「変態的」と評される吉田監督だが、本作ではその表裏が見事に一転! 森田剛の怪演も引き出し、衝撃的なサイコスリラー映画を作り上げた吉田監督を、映画評論家・ミルクマン斉藤が直撃した。 取材・文/ミルクマン斉藤 「胸を張って『変態映画です』と言える」(吉田監督) ──今回は見事に、監督のダークサイドが噴き出た映画ですね(笑)。 どっちかというと、こっちの方が得意というか、こういうダークトーンの映画を自主映画のときから撮り続けてきたんですね。梶井基次郎の『檸檬』をテーマにしたテレビドラマ(2010年の『BUNGO -日本文学シネマ-』)もダークトーンだったの