「実力ですから仕方のないこと。またやり直せということでしょう」。悔しさをのみ込み、記者の目を見て丁寧に返答した。藤井聡太新王位との7番勝負に敗れた木村一基前王位。開幕前から「まず一勝したい。そうすれば景色が変わる」と繰り返していた。しかしその一勝が、遠かった。 トップ棋士としては遅咲きの23歳でプロ入り。以降、タイトル戦に6回挑戦したがすべて敗れた。40代になり、衰えを実感する中で勉強時間を増やした。20~30代がピークとされる将棋界の常識を覆し、昨年9月、史上最年長の46歳で悲願の初タイトルを獲得。「家族への言葉を」と聞かれ、盤の前で静かに涙を流した。
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