日本人は中国をどう語ってきたか 作者: 子安宣邦出版社/メーカー: 青土社発売日: 2012/11/21メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (5件) を見る 子安宣邦氏の『日本人は中国をどう語ってきたか』は、日本思想史研究の重鎮が、明治以来の日本の知識人による中国論の丹念な読み直しを通じて、「日本思想にとっての中国」とはどういったものか、そしてそれが欠落させてきたものは何か、をあぶり出そうとする力作である。著者が中国研究の「外部」の人間であるだけに、「内部」にいる中国研究者にとってはむしろ盲点になるような、鋭い問題提起を展開したものとして読んだ。 この本で批判されている中国論は、二つの類型にわけることができるだろう。一つ目は内藤湖南に代表されるもので、中国をスタティックな文化論の観点から「他者」として語るものである。この議論は、その「冷たさ」の面、中国の動