初めから地方官級の家に生まれた人は、 貴族をまねて、 思想的にも思い上がった人になっている者も多いのに、 この夫人は貴族の出でありながら、 下の階級へはいって行く運命を生まれながらに持っていたものか、 卑しい性格の叔母君であった。 自身が、家門の顔汚しのように思われていた昔の腹いせに、 常陸《ひたち》の宮の女王を自身の娘たちの女房にしてやりたい、 昔風なところはあるが 気だてのよい後見役ができるであろうとこんなことを思って、 時々私の宅へもおいでくだすったらいかがですか。 あなたのお琴の音《ね》も伺いたがる娘たちもおります。 と言って来た。 これを実現させようと叔母は侍従にも促すのであるが、 末摘花は負けじ魂からではなく、 ただ恥ずかしくきまりが悪いために、 叔母の招待に応じようとしないのを、 叔母のほうではくやしく思っていた。 🌷第15帖 蓬生(よもぎう)のあらすじはこちら↓ 少納言の