研究視点から鳴らす今の生成AIブームへの警鐘 ――日本IBM主席研究員金山博氏が危惧する知の消費と「人らしさ」の重要性 「生成AIが出てきて悩んでいる。今の生成AIは作業の効率化を促進できている場面もあるのだが、人間が賢くなる、成長するという喜びを増幅する存在ではない。なのに、多くの方が両手を上げて賞賛している。効率化だけを求める風潮に危険を感じるのだ」。 こう語るのは日本IBM 東京基礎研究所の自然言語処理技術 主席研究員である金山博氏だ。金山氏は世界を変えたIBM社員の1人と言っても過言ではない。 IBMの認知型テクノロジー「Watson」がクイズ番組『Jeopardy!』で人間のチャンピオン2人を破ったのは2011年2月のことで、これは現在生成AIブームで沸く「第三次AIブーム」の火付け役の1つと私は捉えている。 Watsonの勝利は、機械学習と自然言語処理におけるAIの能力を広