劇団民芸出身で、ヤクザや刑事など怖い印象の役が多かった俳優の綿引勝彦氏は、 1990年代にドラマ『天までとどけ』で大家族の父親役を演じたことで、 親しみやすいイメージを獲得した。 みんなのお父さんとなった綿引氏が「天までとどけ」で多くの子役たちと共演した思い出 について語った言葉を、映画史・時代劇研究家の春日太一がつづる。 綿引勝彦は1980年代までの強面のイメージから一転、1990年代にはテレビゲーム 「ポケットモンスター」のCMやバラエティ番組の出演などで柔和な雰囲気を多く見せるようになっている。 大きな転機となったのは1991年にスタートした昼の連続ドラマ『天までとどけ』(TBS)だろう。 足かけ十年続いた本作で、綿引はアットホームな大家族の父親役を演じている。 シリーズ開始時点での夫婦には、上は高校生から下は赤ん坊までの十二人の子供がいる設定だった。 そのため、多くの子役たちと共演