駅名や行き先表示、乗り場案内に注意書き――。駅で見かける文字は、新聞や雑誌で使われているものとは少し違う。古い駅では国鉄時代の書体が今も使われていることがあり、これが懐かしさを感じさせる一因となっている。 国鉄は1987年に分割民営化されたが、その後、JR各社の中には「国鉄書体」を継承した会社もある。鉄道会社の書体について徹底的に調べた『されど鉄道文字――駅名標から広がる世界』の著者・中西あきこさんに、鉄道書体の歴史や特徴について話を聞いた。 ■ 何気なく見ていた文字に名前があった 【写真多数】どこかで見たことのある「鉄道文字」の数々 ――鉄道文字を研究しようと思ったきっかけは? 子供の頃から書道が好きだったんです。それに加えて、路上観察も好きでした。歩いていると看板の文字が気になり、フォントや手書きの気になる文字をカメラで撮影して収集していました。その延長で駅や電車の車内を見渡