『「今泉棚」とリブロの時代』 「今泉棚」と称されるほどの独創的な品揃えでリブロ池袋店を特別な場にした今泉正光への、高校時代からリブロを離れるあたりまでを扱ったロングインタビュー。インタビュアーは小田光雄。 出版社や書店に務める人は今泉や小田に同意するかどうかはともかく読んでおくべきだろうし、リブロ池袋店といえば80年代文化を象徴する存在でもあったので、そのあたりに興味のある人にとっても非常に興味深く読めるだろう。 高校時代は受験勉強から逃避するかのように、兄が持っていた筑摩書房から出ていた『世界文学大系』のデカルトとパスカルが収められていた巻を読み始め、友人たちと「離れ」や図書館で読んだ本の話ばかりする生活を送っていた。この頃を埴谷雄高がその乱読史を回想した『影絵の世界』になぞらえている。地方都市では人文系の本は県庁所在地にでも行かなければ実物を見ることもできず、後に東京の進学校出身者との