トランプ大統領は、Brexitに続くポピュリズムの第2波である。フランスのルペン、ロシアのプーチン、イタリアのベルルスコーニ、日本の橋下徹など大衆に直接アピールするタイプの政治家を「ポピュリスト」と呼ぶとすると、それは確実に増えている。 本書はその原因を朝日新聞の記者があれこれ推測しているが、結局何もわからない。それはポピュリストを既存のメディアの偏見で「不合理」な政治家と決めつけているからだ。そう考える限り、ポピュリズムを理解することはできない。 ポピュリズムは合理的である。それはデモクラシーの根本的な欠陥を利用しているからだ。アメリカ大統領選で、1人の有権者がその結果を変えられる確率はゼロだが、投票するコストは有意に大きい。平日にわざわざ仕事を離れて投票所に行くだけでなく、その前に候補者の政策を調べて誰が正しいかを判断するには時間もかかる。 正しい候補者が当選したとしても、その利益は全