台湾の鴻海傘下で経営再建中のシャープから日本電産への人材流出が止まらない。5月1日付で、経理部門が長かった大西徹夫元副社長が顧問に、テレビ部門を指揮した毛利雅之氏が執行役員に就いた。部長級以上の採用はすでに100人を超えた。 2年前には、元社長の片山幹雄氏が副会長に迎えられている。スカウトに動いているのは、日本電産の永守重信会長兼社長(71)本人だ。 ただ、シャープはモーター部品を納入する「大切なお客さん」(永守氏)。このため声をかけるのは退職者だ。 「うちで夢を叶えようと口説くのが永守流の人買い術」(日本電産関係者) その原点は、学生時代から創業までに書き溜めた何十冊ものノートに詰まっている。 「一流大学を出たわけでもない、カネなし、人脈なし、何もないところから始めた」 永守氏が取材でよく口にする言葉だ。1944年に京都で6人兄弟の末っ子として生まれ、地元の工業高校から職業訓練大学校へ進