運転者不明のバイク事故 私が、ある地検で、交通事故の決裁官をしていたときに、次のような事件にかかわることがありました。それは、既に検察で嫌疑不十分で不起訴にした事件でしたが、事故の被害者から、検察審査会に不服申し立てがなされたことから、私が決裁官のときに再捜査及び処理の見直しの要否を検討することになった事件です。 その事故というのは、16歳の高校生2名が飲酒の上、深夜、原付に2人乗りし、交通閑散な幹線道路を走行中、酩酊運転のため蛇行運転し、道路脇のガードレールに衝突して、転倒し、そのうちの1人(以下、被害者といいます)が頭部を強打し、高次脳機能障害の重傷を負い、生涯残る障害を負ったという事故です。もう1人(以下「被告人」といいます)は軽傷に終わったのですが、臨場した警察官に対しては、被害者が運転していたと言っていました。被害者は意識が回復しても事故のため事故時の記憶がなく、これを否定するこ