米軍関係者が日本で事件や事故を起こしても、日本の裁判が終わるまで米軍が身柄を勾留できるように日米両政府が密約を交わしていたことを示す複数の米公文書が見つかった。1960年に発効した日米地位協定は起訴後に日本側が身柄を保有できると公に定めているにもかかわらず、実際は密約に基づいて判決確定まで日本が身柄を保有しないという米側の権利を手厚く認める運用が行われていた可能性が浮上した。 密約の存在を示唆する米公文書は4件あり、日大の信夫(しのぶ)隆司教授(国際政治学)が米国立公文書館で発見した。日付は65年2月9~18日でいずれも英語で「極秘」と記されている。米国が当時進めていた台湾や韓国、フィリピンとの地位協定の交渉の経過などを記録した文章の中で、「訴訟手続きが完了するまで米側が身柄を勾留する」「日本による身柄勾留を大きく制限する秘密の了解を結んでいる」といった内容が書かれて…