狂犬は自分の手札の中の、ダイヤの8を一別して、心中でほくそ笑む。 フロップ――。場に開かれた3枚のカードの内2枚が8。 ハートとクラブの8。 ――スリーカード―― まずまずの手だ。もちろん顔だけは演技を続け、困り果てたようにゆがめる。 ターンがめくられ、狂犬の目に換気の色が宿る ――フォーカード―― ターンの札は、場に開かれた4枚めのカードは、クラブの8。 ――フォーカードだッ! 狂犬がクラブの8から目を離し、トオルに目を向けると、そこには自信満々の若者の顔があった。 その自信満々の顔を見るといても立ってもいられない。 もう、笑いを抑え込むのに耐えられない。 必死のカードで最後の悪あがきのポーカーフェイスをしているのが、もうおかしくておかしくて、たまらない。 困りながら、プルプルと肩を小刻みに振るわせ笑いをこらえるのに必死。 ――止めてくれ、あの自信に満ちた顔。腹がよじれるぅッ 「降りてい