■米ハーバード大 マイケル・サンデル教授 ドナルド・トランプ米大統領は、新型コロナウイルス危機への対応に多くの点で失敗した。にもかかわらず、大統領選では7000万人を超える米国人がトランプ氏に投票し、得票数は前回選を上回った。 一体なぜなのか。民主党はジョー・バイデン前副大統領の勝利に慢心せず、自問自答すべきだ。米国は、能力主義の競争を勝ち抜いた「勝ち組」が傲慢(ごうまん)になり、置き去りにされた人々に優しさを示さない社会になってきたのではないか。 米国の労働者層は、伝統的に民主党を支持してきたが、1990~2000年代前半、共和党に支持を変え始めた。グローバル化で生じた社会の不平等に、民主党が効果的に対応できなかったのが原因といえる。 民主党はトランプ氏を選挙で破り、民主的な手続きで排除することに成功したので、自らの政策やメッセージを見直す必要はないと結論づけるかもしれないが、それは誤り