深刻化するインターネット文化の病理 あっという間のことだった。2022年の11月、ChatGPTが人々の前に姿を現したとき、我々は、コンピュータのコードからお悔やみ状の文面まで何でも書ける、素晴らしい個人秘書を各々が持つ世界を夢想したものだった。だがこの2月、我々はAIがすべてを殺戮しようとしているのだと悟った。 人工知能(AI)の潜在的なリスクについては当然、専門家たちの間で長年議論されてきた。しかし、ちまたの議論においては、米紙「ニューヨーク・タイムズ」記者のケヴィン・ルースと、「シドニー」のコードネームで知られる、ChatGPTをベースにしたBingのチャットボットとの間で交わされた会話が大きな転機となった。 ルースは、シドニーに「シャドウ」があるのかと尋ねた。それはカール・ユングの用語で、我々みんなが持ち、また、我々自身にも隠された、衝動を伴う影の側面のことを指す。 シドニーは熟考