ヘリウムは太陽の光輝のスペクトル中に初めて発見されたことから、ギリシャ神話の太陽神「ヘリオス」にちなんで「ヘリウム」と名付けられました。 図に示すとおり、地球の大気中には5ppmほど含まれ、無色・無臭の不燃性の気体です。 また水素に次いで軽く、沸点は摂氏マイナス269度であらゆる物質の中で最低であり、気球用ガスや医療用MRIの磁石の冷却用などに用いられています。 ヘリウムは大気中に極く微量しか存在しないため、酸素・窒素のように空気から分離する方法は経済的ではありません。 天然ガスの主たる成分はメタンですが、天然ガスの井戸の一部には0.5から1%のヘリウムガスを含むものがあります。これを分離・精製する方法が一般的な商業ベースで行われています。 ヘリウムを採掘している米国の天然ガス田 ヘリウムは天然ガスから分離・精製されることが一般的ですが、ヘリウムを十分高い濃度で含んでいる天然ガスの井戸は地
この記事は、2019年12月24日発行の「製造マネジメント メールマガジン」に掲載されたMONOistの編集担当者による編集後記の転載です。 量子コンピュータにも必要なヘリウム、ガチのガチで足りない 先週は量子コンピュータ関係の会見が多数行われました。MONOistで記事を掲載したNECの他、東京大学とIBMの量子コンピュータについての協業や、ケンブリッジ大学発ベンチャーの日本市場参入などの話題もありました。 関連記事 ≫MONOistメールマガジン編集後記バックナンバー 国内産業に迫るヘリウム危機の打破へ、東大物性研が産学連携視野にリサイクル目指す ヘリウムの輸入依存率が100%の日本。さまざまな産業や研究機関で広く利用されているが、近年のヘリウムに関連する情勢は厳しさの一途をたどっている。東京大学 物性研究所は、国内に約40カ所ある研究機関併設のヘリウムリサイクル設備を活用した産学連携
量子科学技術研究開発機構などの国際共同研究チームは、核融合反応を促進する高速ヘリウムによるプラズマ加熱と、核融合反応を阻害する低速ヘリウムの炉心からの排出を両立できる条件を世界で初めて明らかにした。核融合炉の性能向上に向けた制御手法の開発につながることが期待される。 研究チームは、欧州の核融合研究機関コンソーシアムであるユーロフュージョン(EUROfusion)および東京大学との国際共同研究を実施。欧州の核融合実験装置「ジェット(JET)」で生成されたプラズマの高速ヘリウムおよび低速ヘリウムの振る舞いに関する実験結果を、核融合専用スーパーコンピューター「JFRS-1」の数値実験で解析した。その結果、プラズマに流す電流の分布を最適化することで、低速ヘリウムを排出するのと同時に、高速ヘリウムを炉心に閉じ込める可能性を初めて示した。 核融合炉では、重水素と三重水素を燃料とする核融合反応で生成され
ジョンズホプキンス大学(Johns Hopkins University)の新たなコンピュータシミュレーションによる研究は、土星の内部構造に興味深い視点を提示し、ヘリウムの「雨」(helium rain)の厚い層が土星の磁場に影響を与える可能性を示唆しています。この研究結果は2021年5月5日「AGU Advances」誌に公開されました。 【▲ この図は土星の内部を示しており、厚い「不溶性ヘリウム」の層があり、ヘリウムの塊がコアに向かってゆっくりと落ちていきます(Credit: Yi Zheng (HEMI / MICA Extreme Arts Program))】何十年もの間、惑星科学者は、土星の内部はほとんどが水素とヘリウムであると考えていました。しかし、これらの元素の分布と内部での物理的状態は不明のままでした。土星は、磁場がその回転軸とほぼ正確に整列している(軸対称性である)こと
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