日本の人口は2070年に8700万人に減少すると推計され、「地方創生」という言葉が空疎に響くほど東京一極集中が進んでいる。「人新世の『資本論』」で知られる東京大准教授の斎藤幸平さん(36)はこの状況をどう捉えているのだろう。研究室を訪ねると、気鋭の学者は「超格差社会」の現実を見据えていた。【聞き手・藤田剛】 <インタビュー前編・目次> ◇人口減少は行き過ぎた資本主義の失敗 ◇東京一極集中が引き起こす三層構造 ◇エッセンシャルワークが低賃金になる理由 ◇「資本のストライキ」にひざまずいた政権 ◇「コモン」の解体、商品化にあらがう ※後編はこちら 人口減少は「行き過ぎた資本主義」の失敗 ――22年の合計特殊出生率は1・26と過去最低でした。生産年齢人口(15~64歳)が減り、社会の担い手不足が深刻になっています。人口減少は資本主義の失敗なのでしょうか? ◆資本主義は絶えざる成長を必要としていま