東京大本郷キャンパスの安田講堂=東京都文京区日本の研究力は低下を続け、国際社会での存在感を失いつつある。国立大学が教育や研究に工夫を凝らせるように国の組織から独立させた「国立大学法人化」から4月で20年。その狙いとは異なる結果に危機感は広がる一方だ。英科学誌ネイチャーが「日本の科学研究は失速」と報じてから7年。研究力の強化に向け、結果を伴う施策が求められている。 引用論文13位に下落昨年8月、文部科学省の科学技術・学術政策研究所が、日本の科学技術力に関する指標を公表した。このうち注目度が高い論文数(他の論文への引用回数が各分野で上位10%に入る論文数)は国別ランキングでイランに抜かれ、過去最低の13位。米国や中国とは大きな差が開き、韓国やスペインよりも下位に沈む。米国や英国、ドイツに次ぐ4位だった約20年前と比べ、著しい没落ぶりだ。