はじめに 理工系の学生なら、学部で線形代数を習うことでしょう。学部での線形代数は、主に行列やベクトルの性質を調べるものとして学ぶと思います。そこで面倒な計算をして対角化とか固有ベクトルとか固有値とかやって、「なんで行列を対角化しなきゃいけないのか?」「固有ベクトルとか求めて何がうれしいのか?」がいまいちわからないまま卒業し、その後の機械学習ブームで「時代は線形代数!」とか言われて教科書を引っ張り出したは良いけど、でも結局よくわからないままそっと閉じる、なんて人も多いのではと思います。 線形代数は、代数学の一分野です。代数学とはその名の通り「具体的な数」の「代」わりに「記号」を使って式を表現し、その性質を調べる学問です。小学校で「つるかめ算」や「過不足算」をやったと思いますが、中学に入るとそれがすべて方程式や連立方程式で解けてしまうことを習ったと思います。一度方程式に落としてしまえば、もとが