「たとえ最高裁確定判決でも、おかしいものはおかしいのだ」。写真週刊誌「フォーカス」から日本テレビに移った清水潔さんの言葉です。 清水さんは2007年夏から、「足利事件」の取材を始めました。被告は捜査段階から1審途中まで起訴事実を認め、すでに最高裁で無期懲役刑が確定していました。大半のメディアはこの事件に「冤罪(えんざい)」の可能性を見いだすことはありませんでした。しかし、清水さんは「冤罪」を強く疑い始めます。その取材は、容疑者を独力で割り出した桶川ストーカー殺人事件や、容疑者の海外逃亡先を突き止めた浜松レストラン店主強盗殺人事件よりも、はるかに困難を伴うものでした。 私自身、清水さんの仕事の中で、最も衝撃を受けたのが、「足利事件」と「足利事件」を含む「栃木・群馬連続幼女誘拐殺人事件」の取材でした。「最高裁確定判決でもおかしいものはおかしい」と鉄のように厚く硬い壁に挑んだ報道を2回にわたって