今から八十年前の今日、一発の原子爆弾が炸裂し、十数万ともいわれる貴い命が失われました。一命をとりとめた方々にも、筆舌に尽くし難い苦難の日々をもたらしました。 内閣総理大臣として、原子爆弾の犠牲となられた方々の御霊(みたま)に対し、ここに謹んで、哀悼の誠を捧げます。そして、今なお被爆の後遺症に苦しんでおられる方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 二年前の九月、広島平和記念資料館を、改装後初めて訪問しました。八十年前のあの日、立ち上るきのこ雲の下で何があったのか。焦土となり灰燼に帰した街。黒焦げになった無辜の人々。直前まで元気に暮らしておられた方が四千度の熱線により一瞬にして影となった石。犠牲者の多くは一般市民でした。人々の夢や明るい未来が瞬時に容赦なく奪われたことに言葉を失いました。
