「国内のモバイル業界は,空洞化が進んでいる」。最近の取材で,あるモバイル関係者がこんな話をしてくれた。国内メーカーが国内の開発・生産拠点を縮小し,国外に移す動きが加速しているのだという。事業を維持するための方策とはいえ,国内の雇用が大きく減るのは大問題だ。 モバイル分野に限らず多くの企業は,優秀な人材と安価な労働力を求めて世界規模で開発・生産の分業を進めている。国内メーカーに「開発・生産の“自給率”を上げて,国内での雇用を守ろう」という意識があったのかは分からないが,外部からは国内での開発や生産にこだわりすぎたように見える。その結果,雇用を守れなかったのだとしたら,何と皮肉な話だろう。 それと呼応するかのように,この半月の間に,日本のIT業界の存在感がますます小さくなっているのではないかと心配になるニュースが飛び込んできた。一つは,携帯電話メーカー最大手ノキアの日本国内R&D事業の縮小。も