「美術が戦争をどのように伝えてきたかを検証する」ことは「戦争記録画」を保管する美術館として継続的に取り組んできたこと──。そう任ずる東京国立近代美術館で、「コレクションを中心とした特集 記録をひらく 記憶をつむぐ」展が開かれている。 「昭和100年」かつ「戦後80年」という節目の年に、先の戦前・戦中・戦後の記憶を、美術作品から読み解こうという試みである。同館は、終戦直後に米軍に接収されるも1970年「無期限貸与」のかたちで「返還」された、153点の戦争記録画を収蔵している。それらコレクションやアーカイブ資料を中心に、作品総数280点というボリュームたっぷりの展示が構成された。会場全体を概観したのち、本展を企画した同館の意図と意義を考えてみよう。
