壇一雄の証言。 ある日、太宰治、中原中也、壇一雄、草野心平が四人で飲んでいると、中原中也が太宰治に絡みだした。その際の中原中也の台詞、「何だ、おめえは。青鯖(あおさば)が空に浮かんだような顔をしやがって。全体、おめえは何の花が好きなんだい」。先輩の中也に気兼ねして困りきっていた太宰は「モ、モ、ノ、ハナ」と媚びた口調で悲しげに答える。すると中也は「ちぇっ、だからおめえは」と吐き捨てて大乱闘。中原中也・草野心平の詩人チームと太宰治・壇一雄の無頼派作家チームのタッグマッチと化す。とはいえ太宰はいつの間にやら逃げ出し、壇一雄は草野心平の髪を引っ張りまわし、店のガラスを粉々にし、店を飛び出し近くの家の陰に隠れて拾った丸太をふりかぶり詩人チームを待ち受けていた。しかし中也達は違う出口から姿をくらましていたという。 その後、ある雪の夜、太宰、中也、壇の三人で飲んだときも、やはり中也が太宰に絡みだし、また