<3歳で『ぞうのババール』、6歳で『ライド・フォー・フリーダム』、そして10歳頃にディケンズに出合う。哲学者マーサ・ヌスバウムの土台になった5冊とは。本誌「人生を変えた55冊」特集より> 「大きなもりのくにで、ちいさなぞうがうまれた。なまえはババール。かあさんはこの子がかわいくてたまらない」――ジャン・ド・ブリュノフ著『ぞうのババール』は、3歳の頃からずっとお気に入りの一冊だ。 『ぞうのババール』 ジャン・ド・ブリュノフ[著] 邦訳/評論社 (※画像をクリックするとアマゾンに飛びます) 私はこの本を通して野生動物の世界をのぞき、彼らがいかに賢く感情豊かなのかを知った。人間が野生動物を残酷に攻撃することも(ババールの母親は狩人に撃たれる)、逆に彼らの友になり、幸せ探しを手助けできることも。 どれも、哲学者としての私の思想の土台になっている。 パリでババールと友達になる女性は、象にとっての幸せ