薪割り作業を終えた熊さんと一緒にお昼の釜揚げうどんを食べた後、私はさっき摘んできた山ブドウを丁寧に洗って煮つめ、バルサミコ酢の仕込みにかかった。 完成するのは、十二年後。どんな味に生まれ変わるのか、目を閉じて想像してみる。 もしかしたら途中で失敗してしまうかもしれない。けれど、十二年後も、こうして私は同じように新鮮な心で、厨房に立っていたい。そんな強い願いを込めて、私は慎重にバルサミコ酢の原液を煮沸消毒した瓶の中に詰め込んだ。 (小川糸『食堂かたつむり』ポプラ文庫、2010) こんばんは。一昨日の午後に卒業生が遊びに来てくれて、教室で約3時間、中学入学から中学2年生の1学期までの生活を微に入り細に入り「かたつむり」のごとく説明してくれました。そして昨夜は13年前の教え子たちがミニ同窓会に招待してくれて、食堂で約4時間、どんな味に生まれ変わったのかを10歳だった頃の懐かしさを残した声で教えて