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1973年のピンボールの検索結果1 - 34 件 / 34件

  • 村上春樹のヒロイン・登場人物たちのつながり

    鼠「鼠」は「風の歌を聴け」に始まる「鼠四部作」に登場する。主人公の友人であるが、ある日突然行方をくらまし、「羊をめぐる冒険」では自ら死を選ぶ。語り手と主人公の仲は深く、あたかも語り手の半身のようである。己の半身が半ば死の世界にいるというモチーフはこの後に何度も繰り返される。 この半身のように親しい友人は「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」のなかでは幻想パートの「影」に姿を変える。彼は語り手の半身であり、語り手の記憶を保持している。壁の中に閉じ込められた世界を脱出するためには二人がそろっていなければならないが、土壇場で語り手は壁の内側にとどまることを選び、影は死ぬことになる。 「ノルウェイの森」では彼は「キズキ」になる。物語の序盤で排気ガスによる死を選んだことが語られ、交際相手であった直子の死の遠因となる。 また、直接の半身ではないにせよ親しい友人で自ら死を選ぶ点で共通しているのは

      村上春樹のヒロイン・登場人物たちのつながり
    • 翻訳者・通訳者が登場する小説、映画、マンガのリスト (佐藤直樹) <2021/02/21更新>|ほんやくWebzine

      調べものがあってネット検索をしていたところ、ある推理小説を紹介しているブログが目に留まりました。私は特に推理小説好きというわけではないのですが、ブログには「主人公が翻訳者である」と書かれていてその一点に興味を引かれました。 私は語学系の出版社で翻訳者志望者向けの情報誌の編集を務め、並行して翻訳・通訳に関する情報サイトの編集担当をしていました。「翻訳」や「通訳」という単語が目に入ると、その時の習いでそれらの文章を読んでしまいます。前述のブログを読んだ時、「この本のように、翻訳者や通訳者が登場する小説は世の中にどのくらいあるものだろう?」とふと思いました。それがこのリストを作ったきっかけです。 翻訳や通訳に関する書籍はこれまで何十冊か読んできたつもりでしたが、大方は指南書や学習書でした。翻訳者や通訳者が登場する小説も何点か読んではいましたがそれほど多くはありません。過去に読んだそれらの本を列記

        翻訳者・通訳者が登場する小説、映画、マンガのリスト (佐藤直樹) <2021/02/21更新>|ほんやくWebzine
      • //映画 4.//村上春樹原作「ドライブ・マイ・カー」を観る/北海道への旅路 - 毎日に乾杯しましょう。

        1.村上春樹を初めて読んだとき 2.「ドライブ・マイ・カー」を観に行く 3.北海道を走りたくなる 4.後日談 1.村上春樹を初めて読んだとき 「ドライブ・マイ・カー」、村上春樹原作が映画化ということで、 春樹好きの私はそのニュースを目にした時から、絶対観に行くと決めていた。 映画の元になった「女のいない男たち」が刊行されたのは、2014年。 私はその頃大学入試を間近に控えた高校3年生で、村上春樹は名前を知っている程度だった。 村上春樹好きの英語の教師がいて、よく授業中に春樹の話をしていたのは覚えている。 高校2年生の時に担任だった。 その教師はある日、「喪失感」とだけ黒板に書き、これが村上春樹の小説に一貫しているテーマだと話した。 眠たい午後の授業で、暑い教室には大きな扇風機が一台回っていた。 女子校で、周りのクラスメイトは流すともなく教師の話を聞き、その話はすぐに終わってしまった。 村上

          //映画 4.//村上春樹原作「ドライブ・マイ・カー」を観る/北海道への旅路 - 毎日に乾杯しましょう。
        • 【映画感想】すずめの戸締まり ☆☆☆☆ - 琥珀色の戯言

          あらすじ 九州の静かな町で生活している17歳の岩戸鈴芽は、”扉”を探しているという青年、宗像草太に出会う。草太の後を追って山中の廃虚にたどり着いた鈴芽は、そこにあった古い扉に手を伸ばす。やがて、日本各地で扉が開き始めるが、それらの扉は向こう側から災いをもたらすのだという。鈴芽は、災いの元となる扉を閉めるために旅立つ。 suzume-tojimari-movie.jp 2022年20作目。 公開から1週間経った週末の夜に観ました。 ネットでも『すずめの戸締まり』がシネコンのスクリーンを占拠している!という話題が出ていましたが、夕方から夜にかけては30分間隔で上映されていて、観客は50人くらいでした。 なんだかよくわからない、というか、支離滅裂、荒唐無稽で説明不足、すずめは、あまりにも「いい子」すぎてリアリティもない。芥川賞の選考委員には「人間が描けていない」とか言われそう…… でも、観終えて

            【映画感想】すずめの戸締まり ☆☆☆☆ - 琥珀色の戯言
          • Twitterの叡智集合。#名刺代わりの小説10選を1300人分まとめてみた - 俺だってヒーローになりてえよ

            ※集計結果をいち早く知りたい方は適当な所まで飛ばしてください。 しばらくこの記事を書くための苦労とか、愚痴とかのいらん話が続きます。 いらん前置き 長い長い道のり 集計結果発表 43位(2票) 42位(3票) 41位(4票) 40位(5票) 39位(6票) 38位(7票) 37位(8票) 36位(9票) 35位(10票) 34位(11票) 33位(12票) 32位(13票) 31位(14票) 30位(15票) 29位(16票) 28位(17票) 27位(18票) 26位(19票) 25位(20票) 24位(21票) 23位(22票) 22位(23票) 21位(24票) 20位(26票) 19位(27票) 18位(28票) 17位(29票) 16位(30票) 15位(31票) 14位(32票) 13位(34票) 12位(35票) 11位(39票) 10位(41票) 9位(42票) 8位(43

              Twitterの叡智集合。#名刺代わりの小説10選を1300人分まとめてみた - 俺だってヒーローになりてえよ
            • 【オーケイ、認めよう】おすすめしたい村上春樹の初期の小説BEST5 - あとかのブログ

              こんにちは、あとかです♪ ブログを始めてからペースはかなり落ちましたが、小説をよく読みます。 とは言っても、新作ではなく、昔好きで読んでいた小説を読み返すことが多くなっています。 色々ありますが、単に「内容をすっかり忘れている」という残念な理由です。 その中でも特に好きだったのが、村上春樹です。 村上春樹は、毎年ノーベル賞の候補に挙がってはスルーという、もはや年末の風物詩になってきています。 そんな川端康成とか大江健三郎の様なポジションの作家と、昔は全く思っていませんでした。 実は、私は村上春樹の小説では、デビューからの「初期の作品のみ」が好きなのです。 今回は、是非お勧めしたい村上春樹初期作品BEST5をご紹介します。 村上春樹とは 長編小説 おすすめしたい初期作 風の歌を聴け 1973年のピンボール 羊をめぐる冒険 ダンス・ダンス・ダンス 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド ま

                【オーケイ、認めよう】おすすめしたい村上春樹の初期の小説BEST5 - あとかのブログ
              • 「ハルキスト」になってしまった人の話 - 🌀ぐるぐるねこ男ブログ🌀

                休みの日、特に何もすることがない時の僕ですが、リビングのソファーに寝転がり、コーヒーをちびちびと飲みながら、村上春樹の長編を読み耽ることがよくあります。本棚から適当に選んだ村上春樹の文庫本を片手に、天井の方を向いたり、窓の方を向いたり、背もたれの方に向いたりして、ソファーの上をゴロゴロと360°転がりながら、長編小説を読み続けています。 村上春樹作品は大好きで、ほぼ全ての小説を読んでいますが、そこに何か学びを求めている訳ではなく、感動を求めている訳でもなく、ただただその作品の世界に没頭し、のんびりと楽しみたいだけなのです。なので、何気なく読んでいて読み飛ばしてしまう文章があったとしても、その箇所に戻って読み直すということは一切しません。村上春樹の世界は、そんな感じでゆるく楽しめばいいと思っています。 そんな僕の姿を一番よく見ているのが、僕の妻です。長ければ半日くらいソファーの上で村上春樹を

                  「ハルキスト」になってしまった人の話 - 🌀ぐるぐるねこ男ブログ🌀
                • 腰ぱんの要求 - 猫とビー玉

                  カッコつけユズ 村上春樹と猫 私は村上春樹の愛読者だ。 初めて読んだのは「1973年のピンボール」が文庫化された頃。 その時の私は10代であまりにも若く、深い意味を読みとることはできなかったが「この本、すごく好きだ」と思った。 これだけの長い年月、飽きることなくファンでいられたのは村上春樹だけだと思う。 村上春樹は著書だけでなく色んな場で社会的な発言もしている。 愛読者であるか否かに関係なく、その意見に頷くことは多い。 でも、妄信的に支持してるわけでもないから、賛同できないことだってある。 違和感を覚えて印象に残っているのは、猫に関するあるエッセイだ。 エッセイ本も山ほどあるので、どの本だったっけ?と迷いながら、本棚を探してみた。 目次のおかげで、拍子抜けするほど簡単に見つかった。 エッセイ本「村上朝日堂」の中の「あたり猫とスカ猫」というタイトルのページだ。 村上氏いわく、猫には当たりとス

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                  • 村上主義者必見 アナザーストーリーズ 『ノルウェイの森』 - 幸せなことだけをして生きていきたい

                    村上主義者必見です アナザーストーリーズ 『ノルウェイの森』 世界のハルキ”はこうして生まれた 再放送 NHK BSプレミアム 2月10日(木)午前8:00~ www.nhk.jp 私も村上主義者です。過去に熱く語ってます。下記参照 今回の目玉は、 村上さんのデビュー当時からの担当編集・斉藤陽子さんと、 ノルウェイの森を映画化したベトナム出身のトラン・アン・ユン監督 のインタビューです。 斉藤陽子さんが春樹さんに 短編「蛍」の長編と 「風の歌を聴け」と「1973年のピンボール」に出てくる直子の物語 を書いてほしい。と言ったら「生々しくて書けない」と断られたそうです。 その後、それがノルウェイの森になったという話です。すげえ。 春樹さんは、短編は映画化許諾してますが、長編はしないと言ってきました。 そして「ノルウェイの森」は唯一の長編小説映画化です。 トラン・アン・ユン監督への信頼が、そうさ

                      村上主義者必見 アナザーストーリーズ 『ノルウェイの森』 - 幸せなことだけをして生きていきたい
                    • 村上春樹の幻の小説「街と、その不確かな壁」を読む方法 - 日々の栞

                      街とその不確かな壁 作者:村上 春樹 新潮社 Amazon その街に行かなくてはならない。なにがあろうと――〈古い夢〉が奥まった書庫でひもとかれ、呼び覚まされるように、封印された“物語”が深く静かに動きだす。魂を揺さぶる純度100パーセントの村上ワールド。 村上春樹の新作長編小説『街とその不確かな壁』が2023年4月13日(木)に刊行される。待ちきれない人も多いのではないだろうか。『一人称単数』といった短編集は出版されてきたが、新作の長編小説は久しぶりだ。長編だと、2017年2月刊行の『騎士団長殺し』以来、6年ぶりとなる。 『街とその不確かな壁』の発売を受けて注目を集めている村上春樹の中編小説がある。それは、「街と、その不確かな壁」だ。タイトルが非常に似ていることから注目を集めているのだ。ただ、この作品は村上春樹自身が失敗作としていることもあり、単行本や文庫、全集にも収録されていない。 こ

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                      • 映画「バーニング 劇場版」原作は村上春樹氏。あらすじと観ての感想。 - sannigoのアラ還日記

                        こんにちはsannigo(さんご)です。いつもありがとうございます。 だいぶ秋らしくなってきて、紅葉がきれいな茨城県の「竜頭の滝」などの景色がテレビに映し出される季節がやってきました。『読書の秋』『芸術の秋』ということで、今回は読書を絡めた映画の感想を書いていこうと思います。 最近ちょっとハマってしまって、続けざまに読んでいるのが「村上春樹」さんなんですが『1Q84』から始まり、『ノルウェイの森』『羊をめぐる冒険』『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』までで、まだまだ読みたいという欲望が身体に渦巻いている感じです。 村上春樹さんの小説がまさか映画化されていないよね?と軽く検察してみたら、すでに数本映画化されてるじゃないですか?これはいかん!ということで今回は村上春樹原作の「納屋を焼く」を原作の映画「バーニング 劇場版」を観てみました。 今回初めて観たつもりでしたが、実は衝撃的なラストの

                          映画「バーニング 劇場版」原作は村上春樹氏。あらすじと観ての感想。 - sannigoのアラ還日記
                        • 『街とその不確かな壁』の理解を深めるためにおすすめの村上春樹作品5選 - 日々の栞

                          街とその不確かな壁 作者:村上春樹 新潮社 Amazon 村上春樹の新作長編小説『街とその不確かな壁』が発売された。『一人称単数』といった短編集は出版されてきたが、新作の長編小説は久しぶりということもあり、発売当初は大きな注目を集めた。 発売から時間が経ったので、読んだ人も多いのではないだろうか。この記事では、『街とその不確かな壁』の理解を深めるためにおすすめの村上春樹作品を紹介したい。『街とその不確かな壁』に内容が近い村上春樹作品がいくつかあるので、読解の参考になるのではないかと思う。 街と、その不確かな壁 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 国境の南、太陽の西 騎士団長殺し 一人称単数 街と、その不確かな壁 文學界 昭和55年 9月号 村上春樹 『街と、その不確かな壁』 収録 ノーブランド品 Amazon まず一番に読んで欲しいのが、「街と、その不確かな壁」だ。『街とその不確か

                            『街とその不確かな壁』の理解を深めるためにおすすめの村上春樹作品5選 - 日々の栞
                          • ばか騒ぎした夜の、虚しさの先に 東京のアンダーグラウンドで戦ってきたDJ・KMの愛読書たち|好書好日

                            プロデューサー/DJのKMさん KM(けーえむ) 東京生まれのDJ、プロデューサー、トラックメイカー。10代から東京・西麻布でオールジャンルのDJとして活動する。メインストリームもアンダーグラウンドも、あらゆる客層を躍らせるプレイスタイルが特徴。その経験を活かしてトラックメイカーとしても頭角を現し、2015年にリミックス集「The Other Side -Mixed by DJ KM」をリリース。18年には「夜のパパ feat. 田我流」などを収録したオリジナルアルバム「FORTUNE GRAND」を発表する。最新作はLEX、JJJ、Campanella、田我流、Daichi Yamamoto、(sic)boy、Lil’Leise But Gold、C.O.S.A.、Kvi Baba、MANON、NTsKi、SPARTA、Taeyoung Boyが参加した「EVERYTHING INSID

                              ばか騒ぎした夜の、虚しさの先に 東京のアンダーグラウンドで戦ってきたDJ・KMの愛読書たち|好書好日
                            • 高学歴の本棚に絶対並んでる本wwww : 哲学ニュースnwk

                              2021年09月12日08:00 高学歴の本棚に絶対並んでる本wwww Tweet 1: 風吹けば名無し 2021/09/12(日) 01:44:46.32 ID:cPArvwb20 国富論 3: 風吹けば名無し 2021/09/12(日) 01:45:19.03 ID:8FY/kTnca 革命のファンファーレ 4: 風吹けば名無し 2021/09/12(日) 01:45:22.55 ID:lmBqBFHf0 論語 5: 風吹けば名無し 2021/09/12(日) 01:45:37.31 ID:wSXQtf2q0 handbook of set theory 6: 風吹けば名無し 2021/09/12(日) 01:45:55.01 ID:cPArvwb20 隅に司馬遼太郎 7: 風吹けば名無し 2021/09/12(日) 01:46:01.04 ID:cPArvwb20 ファクトフルネス

                                高学歴の本棚に絶対並んでる本wwww : 哲学ニュースnwk
                              • 意外すぎる!?芥川賞を受賞していない有名作家まとめ - 日々の栞

                                芥川賞といえば純文学の登竜門的な賞だ。 純文学で優れた新人に与えられる賞で、安部公房や大江健三郎、中村文則、平野啓一郎、川上未映子、綿矢りさ、阿部和重など数多くの有名作家が受賞してきた。 実力のある作家に賞を与えて世に送り出してきた芥川賞だが、一部の作家は正当に評価できていなかったという声もある。実力はあるが、意外にも芥川賞を受賞していない作家もいるのだ。 かつて選考委員だった池澤夏樹は、「かつて芥川賞は村上春樹、吉本ばなな、高橋源一郎、島田雅彦に賞を出せなかった。」というコメントを残している。 そんな実力があるが芥川賞を受賞してない有名作家を紹介したい。 芥川賞とはどんな文学賞? 芥川賞を受賞していない作家 太宰 治 中島敦 三島由紀夫 津島佑子 村上春樹 高橋源一郎 島田雅彦 山田詠美 吉本ばなな 松浦理英子 舞城王太郎 芥川賞とはどんな文学賞? 芥川賞全集 第十一巻 作者:村上 龍,

                                  意外すぎる!?芥川賞を受賞していない有名作家まとめ - 日々の栞
                                • 村上春樹はアゴタ・クリストフの夢を見るか? - 石川智也|論座 - 朝日新聞社の言論サイト

                                  『ドリーミング村上春樹』という小品映画が、封切り1カ月を過ぎても全国のミニシアターで順次上映を続け、ひそやかな人気を集めている。 村上春樹作品は世界50以上の言語で出版されているというが、この映画は村上文学をデンマーク語に訳している翻訳家メッテ・ホルムの日常を映したドキュメンタリー。カメラは、村上作品ゆかりの上野駅やデニーズ、芦屋などを訪ねるメッテを追い、彼女がデビュー作『風の歌を聴け』と2作目『1973年のピンボール』を訳し終え村上との対談のステージに向かう場面で終わる。村上本人は一度も登場しない。 メッテは『風の歌を聴け』の有名な書き出し「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」にどんな訳語をあてるか極限まで悩み抜くが、このフレーズはエピグラムのように度々登場し、映画全体を貫いている。翻訳家という黒衣の存在にスポットライトを当て、原理的に絶対的な不可能

                                    村上春樹はアゴタ・クリストフの夢を見るか? - 石川智也|論座 - 朝日新聞社の言論サイト
                                  • 『街とその不確かな壁』が待ちきれない人におすすめの村上春樹作品5選 - 日々の栞

                                    街とその不確かな壁 作者:村上春樹 新潮社 Amazon 村上春樹の新作長編小説『街とその不確かな壁』が2023年4月13日(木)に刊行される。待ちきれない人も多いのではないだろうか。『一人称単数』といった短編集は出版されてきたが、新作の長編小説は久しぶりだ。長編だと、2017年2月刊行の『騎士団長殺し』以来、6年ぶりとなる。 『街とその不確かな壁』は、1200枚の書き下ろし新作長編小説であるようで、今から読むのが楽しみである。Twitterなどでは、村上春樹新作長編のニュースで祭り状態になっていた。 刊行が待ちきれない人のために、『街とその不確かな壁』に向けておすすめの村上春樹作品を五つ紹介したい。 街と、その不確かな壁 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 騎士団長殺し 一人称単数 図書館奇譚 街と、その不確かな壁 文學界 昭和55年 9月号 村上春樹 『街と、その不確かな壁』

                                      『街とその不確かな壁』が待ちきれない人におすすめの村上春樹作品5選 - 日々の栞
                                    • あえて「2冊目」から読む!「作家の力量を知る」掟破りの読書術(角田 陽一郎) @moneygendai

                                      ジャケ買いする、積読・併読する、感想文やメモは不要、途中でやめていい、速読はしない……。そんな常識をくつがえす読書法を提唱するのは、TBSで数々の人気バラエティ番組を手がけたプロデューサーで、著書『読書をプロデュース』を発表した角田陽一郎氏だ。「デビュー作から順番に読まなくてもいい」と断言する角田氏。その理由を語ってくれた。 同じクラスにはなったものの、それまで全然仲がよくなかった加藤くん。試験期間に朝の通学電車で、たまたま一緒になった彼がふと、僕にSFマンガ『超人ロック』の話をし始めたのです。 「超おもしろいよ、こういう話でさ~」 読んだことがなかった僕は、その話がおもしろくて、先を聞きたくなりました。 試験は午前中で終わるので、帰りも一緒に帰ろうぜとなりましたが、駅まで30分の道だけでは足りませんでした。駅前の喫茶店に入って、午後1時から夜8時までずっと喋り続けました。 加藤くんのすご

                                        あえて「2冊目」から読む!「作家の力量を知る」掟破りの読書術(角田 陽一郎) @moneygendai
                                      • 村上春樹の新刊『街とその不確かな壁』を予想する試み - 日々の栞

                                        www.nikkei.com 村上春樹の新作長編小説『街とその不確かな壁』が2023年4月13日(木)に刊行される。英語でのタイトルは、「The city and its uncertain walls」だ。2017年2月刊行の『騎士団長殺し』以来、6年ぶりとなる書下ろし長編である。 街とその不確かな壁 作者:村上春樹 新潮社 Amazon 『街とその不確かな壁』は、1200枚の書き下ろし新作長編小説であるようだ。 村上春樹ファンのあいだでも話題になったのだが、村上春樹の幻の作品「街と、その不確かな壁」とタイトルがほとんど同じなのだ。新作長編の題名は、読点が一つ抜かれたものである。この点からも内容を予想できそうである。 また、新しい試みとして村上作品の長編では初めて刊行と同日に電子書籍も配信するようだ。 今から読むのが楽しみである。Twitterなどでは新作長編のニュースで祭り状態になって

                                          村上春樹の新刊『街とその不確かな壁』を予想する試み - 日々の栞
                                        • 凛として時雨 全楽曲レビュー ~時雨の「歴史」と「これから」を語りたい~ - 霏々

                                          さて、ついに凛として時雨について記事を書く時がやってきました。 これまでの様々な記事の中にも、度々凛として時雨に関する内容を盛り込んできたように思いますが、「はて、凛として時雨の音楽をどうやって言語化すればよいのか?」という苦悩がずっと付き纏っていて、凛として時雨を中心においた記事を書くには至りませんでした。 今でも凛として時雨(以下、時雨)の音楽に散りばめられた要素を言語化する自信なんて微塵もありません。しかし、あるいは切り口を変えれば、一つの形を成す記事にすることは可能ではないか、と思い、PCと向き合っている次第でございます。 というわけで、今回の記事では、とりあえず時雨の「歴史」について書けるだけ書いてみようと思います。4thアルバムである「still a Sigure virgin?(通称、時雨処女)」辺りからのファンなので、歴はまぁ浅いのですが、可能な限り過去に遡りながら色々と時

                                            凛として時雨 全楽曲レビュー ~時雨の「歴史」と「これから」を語りたい~ - 霏々
                                          • スーパーポジティブマッシーンで在り続けるための6つの考え方

                                            僕は自他共に認める超ポジティブシンキングな性格だ。人生を振り返ってみれば、旅行やイベント参加はいつも最高の思い出しか無いし、今ではほぼ終わりかけている子育ても楽しかった記憶しか無い。自身に対するコンプレックスもなく、いつも「まぁパパほどのイケメンは世界にいないからね」と言っては妻や長女に呆れられている。実際には細かい嫌なこととか辛いこととかはあるんだけど、その全てを良いことに転換して受け止めている。 これは僕の弟も同じタイプで、二人で遊びに行った時はいつだって「今日も最高の1日だったなー」と言いながら帰ってきている。先日僕と弟の二人でキャンプに行ったんだけど、大雨、強風、低気温にも限らず楽しめたし、「今回のキャンプも最高だったね」と言いながら帰宅した。 なぜ僕はこんなにもスーパーポジティブマッシーンなんだろうと振り返ってみると、いくつかのベースとなる考え方を持っていることに気づいたので、こ

                                              スーパーポジティブマッシーンで在り続けるための6つの考え方
                                            • ブックオフの年間ランキングからのこれから読みたい本と「大買取祭」 - sannigoのアラ還日記

                                              こんにちはsannigo(さんご)です。 今年もあと6日になりました。 テレビや雑誌などのメディアやはてなブロガーの皆さまも「一年の総ざらい」をされているようで、読み応えのある記事や番組が増えています。 クリスマスも済んでしまえば、あとは最後のお清め的なお掃除を済ませ、年神様をお迎えするために正月飾りや門松、おもちなどの準備に忙しくなってきます。実際に正月飾りなどを縁起良く飾るには12月26日以降(29日・31日は避ける)に飾るのが良いようです。 >>お正月準備・片付けなどの記事です 正月飾り、縁起良く「いつ飾る?どこに飾る?どう処分する?」 - sannigoのアラカン日記 先日ブックオフの書籍やコミックなどの年間ランキングが記事になっていたのですが、この想像もしないことが次々に起きた激動の2020年は、予想外におうち時間が増えたこともあって読書量が増えた方も多かったようです。 新型コロ

                                                ブックオフの年間ランキングからのこれから読みたい本と「大買取祭」 - sannigoのアラ還日記
                                              • 村上春樹と物語の現在――最新作『街とその不確かな壁』をゆっくり読む|文学+WEB版

                                                【書評】松田樹 「ゆっくり歩け、そしてたっぷり水を飲めってね」鼠はジェイに向って微笑み、ドアを開け、階段を上る。(村上春樹『1973年のピンボール』) 「…ねえ、少し歩かない?」とマリは言う。 「いいよ。歩こう。歩くのはいいことだ。ゆっくり歩け、たくさん水を飲め」 「何、それ?」 「僕の人生のモットーだ。ゆっくり歩け、たくさん水を飲め。」(村上春樹『アフターダーク』) 一、なぜいまさら『街とその不確かな壁』か――「ハルキ現象」の現在 村上春樹の最新長編『街とその不確かな壁』(新潮社)が、2023年4月13日に刊行された。 本作が作家自身によって葬られた幻の旧作「街と、その不確かな壁」(『文学界』1980.9)のリライトであるとか、改作によってコロナ禍の下でのロックダウン状態が反映されているといった時事的な話題は、いまさらもう、問わない。 注目したいのは、刊行直後の瞬間風速的な反応が終息して

                                                  村上春樹と物語の現在――最新作『街とその不確かな壁』をゆっくり読む|文学+WEB版
                                                • 【本】村上春樹『街と、その不確かな壁』~新作長編小説『街とその不確かな壁』との関連が予想される1980年に『文學界』に掲載された単行本未収録の幻の中編小説~ - ヒロの本棚

                                                  1、作品の概要 『街と、その不確かな壁』は、1980年に『文學界』9月号に掲載された中編小説。 『1973年のピンボール』のあとに書かれた。 『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の習作のような作品。 単行本などには未収録の作品で、村上春樹自身が「あれは失敗」と語っている。 2023年4月13日刊行の新作長編小説のタイトルが『街と不確かな壁』で「、」がひとつ抜かれたものになっている。 2、あらすじ 18歳だった「僕」は、大好きだった「君」から、その街の話を聞く。 「僕」は「君」が死んだあとに、影を捨てて予言者として街を訪れる。 その街は壁に囲まれて、影=暗い夢を捨ててひっそりと暮らしている人々と金色の獣の街だった。 図書館の受付をしている「君」のもとで、予言者として古い夢を読む仕事を始める「僕」だったが・・・。 3、この作品に対する思い入れ、読んだキッカケ 単行本未収録の『街と、

                                                    【本】村上春樹『街と、その不確かな壁』~新作長編小説『街とその不確かな壁』との関連が予想される1980年に『文學界』に掲載された単行本未収録の幻の中編小説~ - ヒロの本棚
                                                  • 屋上でビールを飲みながら「村上春樹」を読む - 🌀ぐるぐるねこ男ブログ🌀

                                                    最近とても涼しくなってきたので、自宅の屋上に出て人工芝の上に寝転がり、缶ビールを飲みながら本を読んでいます。屋上からの景色はホント最高です。上半身裸になっていますが、屋上なので周りから見られる心配はないし、また逆に見せる(露出狂?)こともできません。夕焼け空や星空の下でビールを飲みながら本を読むことは、この世で一番の極楽と言っても過言ではありません。 僕はキリンのラガービールが好きです。いろんなビール(それこそ世界中のビール)を飲んできましたが、やっぱりキリンが一番好きかもしれません。本は村上春樹をもう一度、最初の作品から読み返すことにしました。屋上の人工芝の上で、半裸になってビールを飲みながら読む本なんて、村上春樹以外あり得ないと思います。 僕は村上春樹の作品が大好きです。いろんな小説(それこそ世界中の小説)を読んできましたが、やっぱり村上春樹が一番好きかもしれません。『風の歌を聴け』は

                                                      屋上でビールを飲みながら「村上春樹」を読む - 🌀ぐるぐるねこ男ブログ🌀
                                                    • 村上春樹作品に出てくる「やれやれ」の数が年々増えているというトリビア「横軸作品文字数、縦軸やれやれ数で散布図描きたい」

                                                      中野善夫 @tolle_et_lege 英米の古い幻想怪奇小説をよく読む。ときどき翻訳も。『骸骨 ジェローム・K・ジェローム幻想奇譚』(国書刊行会)が出ました。イーディス・ウォートン幻想怪奇作品集を準備中です。でも今は専ら朝顔のことを考えています。 instagram.com/tolle_et_lege/ 中野善夫 @tolle_et_lege どうでもいいけど、「やれやれ」は『風の歌を聴け』に0回、『1973年のピンボール』に1回、『カンガルー日和』に8回、『羊をめぐる冒険』に11回、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』に21回、『ダンス・ダンス・ダンス』に30回出てくる。 2020-04-28 08:50:22

                                                        村上春樹作品に出てくる「やれやれ」の数が年々増えているというトリビア「横軸作品文字数、縦軸やれやれ数で散布図描きたい」
                                                      • Fateの「文学性」ならぬオタク性 - まつたけ大王のブログ

                                                        ※この記事は大塚英志「物語消費論」を参照してfateを解説したものですが、僕の物語消費という語の解釈が本当に正しいのか微妙なのでご了承ください。(何も本とか資料見ないで書いてます。引っ越したばかりで探すの面倒なので) 主に以下の本を参考にしています。(っていうかパクリみたいなものかも...) 「Fateは文学」と半分ネタでいわれることもありますがFateが「文学」だという主張は必ずしも間違っているとは思いません。たしかにfeteは少年少女の教養小説(成長物語、ビルドゥングスロマン)としても読める、という意味では「文学」的ではあります。しかし個人的にはfateという作品はとてもオタク的であるとも思うので、そのことについて書いていきたいと思います。 まずfateのオタク性は上記のような「文学」性とは別の位相にあるように思います。また人文系の修士号を持っているという奈須きのこの作家としてのバック

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                                                        • 追悼。大江健三郎『万延元年のフットボール』レビュー! - 桜の園でつかまえて

                                                          始めに 始めに 語りの構造、背景知識 フォークナー、アナール学派、文化人類学の影響 スポーツと宗教を結ぶ文化人類学 象徴的手法 物語世界 あらすじ 総評 大江健三郎が新たなステージに登った時期の作品 関連作品、関連おすすめ作品 参考文献 始めに 始めに 大江健三郎の死を悼み、代表作『万延元年のフットボール』のレビューを書いていきたいと思います。 リンク 語りの構造、背景知識 フォークナー、アナール学派、文化人類学の影響 大江健三郎は初期からモダニズム文学者ウィリアム=フォークナーの影響が顕著です。コンラッドやT.Sエリオットといったモダニズムの潮流を汲むフォークナーは、たとえばアナール学派が設定したような問題意識から、過去の歴史を物語ろうとします。文化人類学、社会学の分析枠組みを導入し、世相史や社会史の記述を試みたり、ミクロなアクターの視点・現象からの記述やマクロなシステムの構造的考察とい

                                                            追悼。大江健三郎『万延元年のフットボール』レビュー! - 桜の園でつかまえて
                                                          • 考察・1973年のピンボール 自己変革を目的とした小説 - パスタを茹でている間に

                                                            村上春樹著、長編『1973年のピンボール』を考察します。本作は著者にとって二作目の長編です。「喪失感」という言葉を使わずに考察します。 テーマあるいは出発点 ”これはピンボールについての小説である。”ーP.29 ”ピンボールの目的は自己表現にあるのではなく、自己変革にある。エゴの拡大にではなく、縮小にある。分析にではなく、包括にある。”ーP.30 著者の解決あるいはメッセージ (この)小説を書くことは、自己表現ではなく、自己変革を目的にしている。自分らしさの追求ではなく、自我(エゴ)の中から自己(社会と共有できる自分)を抽出し、自我を縮小することである。純粋な自我(エゴ)だけを取り出して分析することは不可能なので、自己によって包括することである。 1973年のピンボール (講談社文庫) 作者:村上春樹 講談社 Amazon テーマあるいは出発点 著者の解決あるいはメッセージ 「ピンボール」

                                                              考察・1973年のピンボール 自己変革を目的とした小説 - パスタを茹でている間に
                                                            • 村上春樹の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」はなぜイラつくのか。完全バージョン - 埋没地蔵の館blog

                                                              満を持して、村上春樹を読んでみました。めちゃ売れてるって評判だし、本屋でも下品なぐらい平積みされてるし、アイフォーンの新作かってぐらいの長蛇の列がテレビで流れていたので、あんまりウザイから読んでみたのです。 読んでみてすぐに王様のブランチで本仮屋ユイカとかが「うーん・・・なんか難しいとこもあったんですけど・・・最後にすごい村上さんから明るい励ましのメッセージをもらったようで元気になりました!」ってぶりっ子然な感じでなんの生産性もないコメントをしているのがなんとなく目に浮かび・・・。その脇で谷原章介が「うんうんそこが村上作品の魅力だよねー」とスカした感じで頷いてる光景が脳裏によぎりました・・・。王様のブランチで褒められている小説はたいがいろくでもないという相場は決まっております。だから変な期待を持たずに読み終えることができました。あらかじめ言っておくと、ボクは村上作品のいい読者ではありません

                                                                村上春樹の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」はなぜイラつくのか。完全バージョン - 埋没地蔵の館blog
                                                              • 【本】村上春樹『1973年のピンボール』~古い光のような過去の想い、停滞と喪失、そして再生~ - ヒロの本棚

                                                                1、作品の概要 『1973年のピンボール』は村上春樹の中編小説。 1980年に刊行された。 村上春樹の2作目の小説。 第83回芥川賞候補作。 タイトルは、大江健三郎の『万延元年のフットボール』をもじったとのこと。 『風の歌を聴け』から始まり『羊をめぐる冒険』につながる『鼠三部作』の第2作。 700キロ離れた、「僕」と「鼠」の1973年の9月~11月の出来事を綴った。 2、あらすじ 「僕」は、東京で友人と翻訳事務所を設立し、翻訳の仕事をしながら繰り返しの毎日を送っていた。 そんなある日、ひょんなことから双子の女の子と3人で暮らすようになり、奇妙だけど穏やかな日々を過ごしすようになる。 一方、鼠は大学を辞めて「街」で暮らしていました。 土曜日の夜の彼女との逢瀬、馴染みのジェイズバーで飲むビール。 繰り返しの日々の中で鼠の心は沈んでいき、変化を求めるようになっていく・・・。 僕は、大学生の時に自

                                                                  【本】村上春樹『1973年のピンボール』~古い光のような過去の想い、停滞と喪失、そして再生~ - ヒロの本棚
                                                                • With the Beatles / 村上春樹(Philip Gabriel訳): 翻訳文学の面白さ - トーキョーブックガール

                                                                  (ウィズ・ザ・ビートルズ) 子供の頃から翻訳小説を読むのが好きだった。 ちょっとした言い回しや文章に、翻訳される前のその国の言葉が透けて見える気がして、その独特の「感じ」にいつもわくわくした。 今でもよく覚えているのは、スペイン語から日本語に翻訳された本で、 これは私の気に入った。 という文章が出てきたこと。 スペイン語の動詞"gustar"は、主語が「私」ではなく「気に入ったもの」なので、「私の気に入る」という表現がぴったりだし、日本語ではもちろん「私は気に入った」が普通の使い方だから普通ではないとは感じるのだけれど、それでいて違和感はない。 だって「私」の「気」に「入る」*1んだもの、おかしくはない。 これが意図して使用されたものなのか、古い本だったので出版当時はその表現が普通だったのかは分からないものの(多分前者だとは思うけれど)、その時の衝撃はちょっと忘れられない。 こういう風にも

                                                                    With the Beatles / 村上春樹(Philip Gabriel訳): 翻訳文学の面白さ - トーキョーブックガール
                                                                  • 早朝のコインランドリーとドミンゴのデニム - 音楽と服

                                                                    私たちは「デニーズ」の店内にいる。 面白みはないけれど必要十分な照明,無表情なインテリアと食器,経営工学のスペシャリストたちによって細部まで緻密に計算されたフロアプラン,小さな音で流れる無害なバックグラウンド・ミュージック,正確にマニュアルどおりの応対をする訓練された店員たち。「ようこそデニーズにいらっしゃいました」。店はどこをとっても,交換可能な匿名的事物によって成立している。店内は満席に近い状態だ。 「アフターダーク」村上春樹 村上春樹の小説「アフターダーク」では,彼の小説には珍しく三人称で話が進行していく。 村上春樹の小説といえば,一人称。大抵は主人公「僕」の視点で描かれる。 「風の歌を聴け」も「1973年のピンボール」も「羊をめぐる冒険」も「ダンス・ダンス・ダンス」と「ねじ巻き鳥クロニクル」もそうだった。 ところが,この「アフターダーク」では主語は「僕」ではない。登場人物の名前が入

                                                                      早朝のコインランドリーとドミンゴのデニム - 音楽と服
                                                                    • 大瀧詠一『A LONG VACATION』|さとなお(佐藤尚之)

                                                                      人生に欠かせないオールタイムベスト音楽をいろいろと紹介していきたいと思います。ジャズ、クラシック、ロック、ポップス、歌謡曲、フォーク、J-Popなど、脈絡なくいろいろと。 2019年8月16日。 ボクは山下達郎のライブを聴きに行った。 山下達郎のライブにはここ10年ほど毎年行っているが、彼は大瀧詠一が亡くなってから6年半、沈黙を守っていた。 ※(一般に表記として大瀧と大滝の両方が使われるが、ここでは本名のほうの大瀧で統一する) 昨年のライブだったか、少しだけ大瀧詠一の曲をやったことはある(例のメドレーコーナーで)。 でも、今回のライブでは、きちんと彼について語り、一曲をフルに演奏した。 「大瀧さんのことは軽々しく語りたくなかった。だからいままでまったく語ってこなかった」と言い、「でも、7回忌を前に、そろそろ語ってもいいかなと思い始めた」と、いくつかのエピソードと想いをステージで語った。 大

                                                                        大瀧詠一『A LONG VACATION』|さとなお(佐藤尚之)
                                                                      1