症例は50歳の男性で,上腹部違和感にて近医受診,腹部USにて膵頭部の膵管拡張を指摘され当院紹介となった.MRCPにて膵頭部に非特異的な走行を示す蛇行した膵管像を認め,一部は嚢胞状に拡張しており分枝型の膵管内乳頭粘液性腫瘍と診断した.経過観察としていたが初診から2年後のMRCPにて嚢胞径が32mmに増大し,かつ壁在結節を疑う所見を認めたため悪性を否定できず幽門輪温存膵頭十二指腸切除を施行した.摘出標本の膵管造影を行ったところ,背側膵管と腹側膵管が各々の下枝を介して癒合する膵管癒合異常を示し,広岡らの分類における分枝癒合型2型に相当すると考えられた.病理組織学的診断では微小浸潤を伴った膵管内乳頭粘液性癌であった.非常に稀な膵管像を呈した膵管内乳頭粘液性腫瘍の1例と考えられるため報告した.