1991年 予兆 僕の乗った新造のマグロはえ縄漁船の処女航海。 魚場は太平洋の南方海域だった。 フィリピン人船員のレンドンとエディーを乗船させるため 一路グァム島を目指した。 フィリピン人船員は、太平洋南方海域でのメバチやキハダマグロ漁の時期(4月〜8月)の間だけ グアム島から乗船し、日本のマグロ漁船に乗船し就労した。 しかしこの時、新造船だったため、試運転や漁具の整備等に時間を要したため 約1年振りのグァム島に入港だった。 出港して5日目の深夜 僕は、機関長補佐だったため機関室横の船員室の寝台を使っていた。 機関長補佐と言っても、航海の間は一般船員と同じで、航行中の当直のローテーションに入る。 当直は2時間の交代制で、当直が終わる時には航海日誌に天候や風速、緯度経度等を記入する。 一般船員の場合は、それで当直が終わる。 僕は機関部だっため、航海日誌と共に機関日誌を記入する。そして、船体底