はじめに~政次の死とイエスの死のパラレル構造~ 33話のラストで磔の刑に処される政次を見て、イエス・キリストの十字架の上での死に重ね合わせた方は多かったのではないでしょうか。私も政次の死には「イエスの受難」物語からの引用が多数散りばめられていると感じました。ただしそれは磔や槍といったビジュアル面での模倣だけではなく、もう少し深い意図があっての引用だったのではないかと思います。そしてその「意図」があったからこそ、諸説ある政次の処刑方法のうちで「磔」説が採用されたのではないか、さらに言えば、イエスの死がもつ意味に触発されて、『直虎』における政次の死の意味が形作られていったのではないか、と考えるようになりました。そこでこのエントリでは、どのような引用があったか、そしてなぜが行われたのかということについて考察してみたいと思います。 よくご存知の方には蛇足かもしれませんが、最初にイエスとその受難(P