特別著者インタビュー 『人はどこまで合理的か』に「再現性の危機」問題は影を落とすか? 本書『人はどこまで合理的か』の中で、著者は心理学研究における「再現性の危機」、すなわち、実験結果を他の研究者が再現できないという問題に言及しています。一方、本書の内容そのものも、多くの心理学実験の結果に依拠しています。「再現性の危機」の問題は、本書の主張に影響を及ぼすことはないのでしょうか? ここでは特に、本書の多くの箇所で論拠とされている「二重過程理論」について、著者に聞いてみました。二重過程理論とは、人間の思考の仕方には、無意識で高速な「システム1」と、意識的で遅い「システム2」があり、前者は認知バイアスに陥りやすいというもの(本書上巻32ページ参照)。行動経済学者でノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カーネマンが著したベストセラー『ファスト&スロー』で有名になりました。 インタビュアーは、批評家のベン