「教育基本法」が改訂されると火が消えたように教育論議が静まった。教育をゆっくり考えるにはいい時期かもしれない。新旧の「教育基本法」にうたわれている「人格の完成」に関して若干考察してみたい。 横綱の「品格」が大きな話題になった。手許の国語辞典では、「品格」とは品位・気品のこと。「人格」は、人柄、人の品格・品性などをさすという。辞典を作った人も大いに困惑したのではないか。そのあいまいなところがいいのかもしれない。 1947年3月31日公布された「教育基本法」で、教育の目的の最初に「人格の完成」がうたわれた経緯は広く知られているが、かんたんに振り返ってみる。 その前年、教育刷新委員会(委員長・安倍能成、副委員長・南原繁、委員約50名)ができ、その中に第一特別委員会(主査・羽渓了諦をはじめ学者8名)が、教育基本法の原案を作成することになった。委員会は非公開であったが、後、すこしづつ漏れてきた。 最