日本人2人が過激派組織「イスラム国」とみられるグループの人質になった事件。自身もイラクで武装勢力に拘束された経験を持つジャーナリスト安田純平さん(40)は思う。憎しみの大地と足元の日本社会は地続きである、と。再びもたげようとしている「自己責任論」が、そう言わせる。 オレンジ色の服をまとい、後ろ手に縛られた2人の姿に思ったのは「出てしまったか」。いつか日本人が標的になるという悪夢は現実となった。 「報道によれば、昨年の12月ごろに身代金を要求するメールが彼の妻のもとに届いていた。この間にもっとできることが政府にはあったのではないか」 人質の一人、ジャーナリスト後藤健二さん(47)とは同業の士として1年前に知り合い、食事をする仲になっていた。殺害予告の映像を目の当たりにし、口惜しさは隠しようがなかった。 ■自己責任論 昨年4月、安田さんは取材のためイラクにいた。北部ではイスラム国が勢